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teardrop

第1章 1滴

友人は「せっかく成宮に告られたのに、断ったんでしょ。何で?」と聞いた。

「何でって…いや、それより…どうして知ってるの?」

友人達は既に噂になってる事を透花に教える。

朝からヒソヒソと周りが話してるのはそのせいだった。

透花は成宮に告白された事が何だか気恥ずかしく感じた。

断ってしまって成宮に申し訳ない気がしてたから告白の話は誰にも言うつもりなんてなかった。

なのに、昨日の今日でどこから情報が漏れたのか朝からこんなに噂になっているなんて思いも寄らない事だ。

友人達にしつこく詰め寄られ、適当にあしらっても質問攻めされる透花。

そんな様子をクラスメイトの一人が、面白くなさそうな顔で見てるなんて誰も気付きもせず。

透花は冷やかされたり囃されたりして返答に困りながら、とりあえず笑って誤魔化し続ける。

朝の準備も出来ず、鐘が鳴って先生が教室に入ってくる直前まで透花は友人達に取り囲まれた。

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