teardrop
第1章 1滴
ジリリリリリリリリ…
透花は目覚まし時計の音が鳴り響き、目が覚めた。
目覚ましを切る。
眠たい目を擦りながら起き上がり、少しボーッと天井を見た。
『何だろう?何か変な夢見たなぁ…ん?夢!?…あぁ、夢かぁ』
何となく、見た夢の感覚がまだ残っている。
どんな夢だったか思い出そうとするが「えっと…あれ?どんな夢だったかな?」
覚えてるようで覚えていないような、まるで今さっきまで見てた夢にモヤが、かかっている。
『…あーっ、もう!』
思い出そうとすればするほど、どんどん忘れていく。
「ダメだ…」
完全に夢の記憶も余韻も遠くに消えた。
パタンと力尽きて倒れるように布団に顔を埋める。
望月 透花(モチヅキ トウカ)は高校生になったばかりの15歳。
暫く突っ伏したままの透花だったが、学校に行く準備をしなきゃならない。
歯を磨くと、口の中がしみた。
鏡を見ながら左側の頬を触れてみる。
「…うん、大丈夫。腫れてない」
さっき、しみた口の中を舌先で確認すると左の頬の内側にあたる部分が、切れてるようだ。
口を開いて中を見ると傷ができていた。
透花は暫く塩辛い物を食べるのは控えようと思った。