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教室に入った透花は自分の席に男子が座ってる事に気付く。

窓から射し込む太陽の光と風にさらされ、その男の髪が揺れた。

『あの時の…？』

透花は桜が枚散る中で見た男子学生の面影を思い出す。

その男は透花の前の席である松本と楽しそうに会話をしてた。

透花が突っ立ったままでいると、松本が気付く。

透花がいじめにあってるなんて知るよしもない松本は透花に笑顔で挨拶をする。

「あ、オハヨ！」

透花の席に座ってた男も松本の目線を追って振り返った。

男もまた透花を見て、少し驚いてる感じだった。

透花と目が合ったその男の髪がまた窓から入った風で揺れている。


「藤沢、ほらっ…そこトーカちゃんの席だからどいてやれよ」

松本の声に、二人はハッとして目を反らす。

藤沢と名を呼ばれた男子は怠そうに透花へ席を譲ると松本の机の上に座った。

透花は控え目な声で「おはよう」と言い、自分の席に座る。

藤沢の視線を感じたが、透花はなるべく目を合わさぬようにした。