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teardrop

第2章 2滴

いつ真紀達が見ていて、どんな事が反省会のネタになるのかわからない。

透花はなるべく存在感を消して真紀達の目をひかぬよう気を付けている。


透花は本を机の中から出してページを開く。

授業の合間に本を読むのは人と関わる事を極力減らす為であり、孤立化してる事を隠す為でもあった。

本当は本の内容なんて頭に入ってもいなかったが、それでも読んでるフリをして時間を潰す。

本は透花にとって、自分を守る小さな盾。

そうやって、いつものように透花が本を開いて読むふりをしてたら藤沢が透花から本を取りあげた。

「お前、何読んでんの?」

「あっ!こら、藤沢…読んでる途中なんだから邪魔しちゃダメだろ」

藤沢はパラパラとページをめくってつまらなさそうな顔をした。

「文字ばっか…頭、痛くなりそー」

透花が慌てて、本に手を伸ばす。

「か、返して…」

「ほら、早くトーカちゃんに返してやれよ」

松本は藤沢から本を取りあげると透花に渡す。

その瞬間、真紀が教室に入ってきた。

真紀は周りの人に挨拶してて、まだこっちに気付いていない。

透花に緊張感が走り、慌てて本のページを適当に開いて読んでるフリをした。

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