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teardrop

第2章 2滴

その後も反省会は行われなかった。

どうやら真紀は藤沢に夢中で、それどころじゃない感じだった。

放課後になれば透花の事は眼中にもなく、下校する藤沢の後を追いかけ、忙しそうな様子。

それでも気を抜く事はできないが、透花は何事もなく平和に学校生活を過ごせた。

相変わらず学校で友達は居ない。

けれど無事に過ごせるだけで良いと感じている。

そして、このまま平穏な日々が続く事を願っていた。


ある日の昼休み

透花がいつものように本のページを開いていると、教室の入口から「陽斗(ハルト)いる?」と、誰かを呼ぶ声が聞こえた。

すると、松本と話をしていた藤沢が反応する。

「おぉ!ここにいるぞ」

何となく、藤沢を下の名前で呼ぶ人がいる事を珍しく感じた透花はその相手を見て固まる。

藤沢を名前で呼んだのは成宮だった。

成宮も透花に気付いていて少し、気まずそうな顔をしている。

藤沢に「何だよ?用があんなら、んなトコいねーでこっちに来て言えよ!」と言われて成宮は仕方なさそうに教室に入ってくる。

透花は本に視線を落とし、髪で顔を少し隠した。

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