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teardrop

第2章 2滴

「何の事を言ってるかサッパリわかんねーし…」

藤沢は不機嫌そうな顔で言った。

松本が「藤沢って学校来てなかったから噂、知らないもんな」と言う。

成宮は話すのを躊躇うが、今更隠しても無駄と思った。

そして、透花に告白した事や噂の状況を話す。

「俺…振られたショックで、部活中に感情的になって泣いちまってさ…思わず他の奴に話しちゃったんだよな。そしたら次の日にはもう噂になってて収拾つかなくなって…」

松本は成宮の話で、初めて噂の出所を知って目をパチクリしていた。

不機嫌そうに聞いてた藤沢は突然、吹き出す。

「ブハッ!!ナリ…お前、振られたんかよ!しかも、部活中に泣いただって?ダッセーッ!」

追い討ちをかけるかのような藤沢の言葉と笑い声。

「…んで?…何で、ナリが今更謝んの?」

成宮は「だから、噂になって望月さんに迷惑かけたからだよ。それより陽斗さ…あんまり笑うなって。俺、まだ失恋の傷が癒えてないんだぜ」と切なそうに言う。

藤沢は更にデリカシーも無く爆笑した。

松本が成宮を宥めるように「ナリ君、藤沢はこーゆー奴なんだよ」と言うと、成宮は「うん…知ってる」と答えて二人で溜め息をついた。

藤沢はお腹を抱えながら「ははっ、お前らってホント面白れー奴。お前らが一緒なら毎日、退屈しねーな!」と楽しそうに言う。

今までに見た事もない藤沢の楽しそうな笑い顔に、松本と成宮は満更でもない顔で苦笑する。

藤沢が笑い飛ばしたお陰で、成宮も何だかずーっと失恋で沈んでた気持ちが少し軽くなったような気がした。

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