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teardrop

第2章 2滴

その日の放課後、松本が藤沢に「藤沢、俺ちょっと職員室に用があるからもう少し、帰るの待ってて」と言った。

藤沢は松本の席で待ってる事にする。

そして、帰る準備をしてる透花に話しかけた。

「なぁ、お前…ナリの事、断ったんだってな」

鞄に勉強道具を詰めていた透花は「…ナリ?」と答えると何の事かわからない顔をする。

「成宮だよ。アイツ、俺と同じ中学出身なんだ。でさ、告られたのに振ったんだろ?」

何も答えない透花。

「他に好きな奴でもいんの?」

透花はすぐに「いない」と言う。

「じゃあ、何で断ったんだよ?ナリって中学ん時から結構、人気あるんだぜ」

透花が黙ってても藤沢は「何で?」を繰り返して聞く。

「ナリが嫌いとか?」

透花は「…そうじゃなくて成宮君の事、私よく知らないから」と静かに答えた。

「ふぅん…そっか…」

藤沢は何かを考えてる。

透花が鞄の蓋を閉めてると藤沢はその鞄に手を置き「じゃあさっ…」と何か思い付いたように言いかける。

すると、教室の入口から突然「藤沢〜」と呼ぶ甲高い声が聞こえた。

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