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teardrop

第2章 2滴

透花はその声にビクッと反応して固まった。

教室の入口には真紀達のグループと、透花を冷やかな目で見てる志穂がいる。

藤沢を呼んだのは真紀だった。

『しまった!』

透花は思った。

側にきた真紀が藤沢に話しかける。

「ねぇ藤沢、まだ帰らないの?」

藤沢は真紀を見て「マツを待ってんだよ」と言った。

「そう。あのさ…帰りに、どっかで遊んで行かない?私、奢るし〜」

真紀は笑顔で藤沢を誘う。

藤沢は「やだ、面倒臭ぇ」と素っ気なく答える。

「え〜、そんな事言わないでさぁ…行こ〜よぉ」

甘えた声を出して、藤沢の腕に絡みついてく真紀。

藤沢は鬱陶しそうに急に立ち上がると、腕をあげて真紀の手を外す。

「ったく!お前な、名前がマキだからって俺に巻き付くなよ」

暫く楽しそうにふざけ合ってるようだったが、藤沢はまた座る。

「つーか…今、望月と話してっから!お前に関係無い話だし、悪ぃけど二人で話したいんだ」

そう言われた真紀の顔から笑顔が消え、藤沢の視線の隙を見て透花を睨んだ。

少し顔を赤くして真紀は「あ、そう…私、邪魔しちゃったみたいね…」と言うと、そそくさと教室から出て行った。

真紀が睨んだ瞬間を見逃さなかった透花は全身から血の気が引いてくのを感じていた。

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