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teardrop

第1章 1滴

透花が住んでる地元は小さな町で公立の高校が一つある。

透花はその地元高校に通ってる。

まだ入学してから、あまり日が経ってもいないのに今日は遅刻確定。

急いで家を出たけれど、今更慌てて行っても遅刻は遅刻だと思った透花は走るのをやめ、歩いていく事にした。

学校までの道の途中に川があった。

川の土手沿いに並んだ桜が散りだしている。

透花は今年の桜はもう見納めだと思い、見渡しながら歩いてた。

急に風で桜が舞い散り、風を防ぐように視線を逸らせる。

すると透花の視線の先に少し人目を避けるような場所で、同じ高校の制服を着た男子がいる事に気付く。

その男子学生はお腹を押さえて座りこんでいるように見えた。

「…お腹でも痛いのかな?」

少し気になった透花は、近付いてみた。

「ねぇ、大丈夫?」

透花が声をかけると、男子学生の体はピクッと反応したが、返事がなかった。

「どうしたの?大丈夫?」

男子学生は振り返って透花を見ると「…うっせーな!」と言い放った。

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