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teardrop

第5章 5滴

そんな昨夜の事を思い出しながら少しムッとする松本。

朝から夏休みの宿題に追われてた。

もうすぐ新学期を控えてるのに、まだ二割も終えていない。

昼過ぎ頃に藤沢が来る。

夏休みの間、ほとんど毎日のように一緒にいた藤沢。

松本はわざと藤沢に「夏休みの宿題終わった?」と聞いてみた。

「宿題?あぁ…プリントとかなら、とっくに終わってるぞ。でも、作文だの論文だの感想文は放置したまんまだぜ」

松本は物凄く驚く。

『藤沢が宿題を?有り得ない!絶対、嘘だ!』

信じない松本。

藤沢が「プリントはナリがやったやつ写すだけだからな…けど、それも途中で面倒なったからナリにやらせた」と話す。

「えっ…ナリ君に?」

「ああ、あいつ頭良いんだよな。部活と両立するなんて超人の域だと思わねぇ?」

感心しながら話す藤沢に、松本は声を張って言った。

「何だよそれ!?…ズルいぞ藤沢!俺にも見せろよ!」

「はぁ?面倒臭ぇー…宿題くらい自分でやれよ」

「藤沢が、それを言う!?…いや、今はそんな事より…俺、朝から宿題やってるけど全然、進まないんだよぉぉぉ…」

松本は絶望的な状況に泣きそうな顔をしていた。

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