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teardrop

第5章 5滴

暗く沈みきる松本。

「…マツもナリに見せてもらえば?」と藤沢が提案する。

「え?…そっかー!そんな手もあったかぁぁ!!」

希望の光を見つけた松本は明るく叫んだ。

『いちいち騒がしい奴…』と思う藤沢。

松本はひとまず安心して落ち着きを取り戻した。

そして、藤沢に過呼吸について母親から聞いた話を教えた。

藤沢は「人それぞれ、色々ある奴もいんだろ」と冷静に答える。

「それはそうだけど…でも、トーカちゃんのあんな苦しそうな姿見たらさ…俺…」

松本は力無く言うと、表情を曇らせた。

「何だよ?そんなに望月の事が気になんの?お前もナリと同じで、望月が好きなんじゃねーの?」

からかう藤沢だったが、松本は真剣な顔で悩んでいるようだった。

藤沢も少し困って、何かアドバイス的な事を言おうと考える。

「…あいつに告白とか考えてんなら、もっと仲良くしてからの方がいいんじゃねーか?ほら、ナリは焦って告白したからフラれたワケだし」

「違うよ、藤沢…そーゆー事じゃなくって…」

藤沢が言い終える前に話を割る松本。

一応、藤沢なりに真剣に恋の相談にのってるつもりだったが、松本に否定されて「はぁ?せっかく俺が真剣に…」と不服そうに言う。

「だから、俺が気になってるのは別の事なんだ…」

松本は今まで一人で考えてきた事を藤沢に話してみようと思った。

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