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teardrop

第5章 5滴

始業式の日、透花はやっぱり学校に現れなかった。

藤沢は終始、ムスッとした顔をしてた。

真紀が話しかけてきてもロクに返事をせずにいたが、本当は言いたい事はたくさんあった。

しかし、部活の大会が近い成宮の事を考えて我慢するしかない。

こんな時期に、自分の告白のせいで透花が酷い目にあってたなんて成宮が知れば性格上、ショックを受けて気にする事は目に見えている。

だから、藤沢は自分の怒りや言いたい事を真紀にぶつける事ができずに堪えていた。


学校は午前中で終わり。

帰り際に、真紀は藤沢に午後から遊びに誘おうとした。

「…行かねーし」

不機嫌気味に答える藤沢。

松本は様子を見てた。

藤沢は真紀と目を合わす事もなく、さっさと帰り支度をして「ほら、マツ!ボーッとしてねーで帰るぞ」と言い、教室を出ていった。

「ねぇ…藤沢、何か変じゃない?どうかしたの?」と真紀は松本に尋ねた。

「えっ!?あっ、ああ…昨日も遅くまで遊んでたから眠くて機嫌悪いんだよ…じゃ、俺も帰るね」

松本はそう答えると、慌てて藤沢の後を追って行った。

藤沢に追い付くと、松本は藤沢に言う。

「もう少し、自然にできないんかよ…あれじゃあ、あからさまな気が…」

「…何が?俺は元々こうだし」

松本は「う〜ん…まぁ、あれでも藤沢にすれば上出来な方だな」と、独り言のように言いながら苦笑した。

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