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teardrop

第1章 1滴

再び成宮の話題に戻す友人達。

「成宮ってさ、入学してすぐに陸上部の先輩達からスカウトされて早速、入部したんだって。……で、その成宮が透花に何だって?」

「…何か、放課後に話したい事あるって…何だろう?部活の勧誘かな?私、陸上なんてやった事ないんだけど…」

友人達は互いに目配せしてから、色めき立つ。

「えーっ!もしかしたら成宮に告白とかされんじゃないの?」

友人の思わぬ発言に透花は「何言ってんの?」と返した。

成宮の事は今、友達から聞いて知ったばかりだし、入学してからまだそんなに日も経っていない。

親しくもないし話をしたのも、さっきのが初めてだ。

何の接点もない成宮がいきなり告白してくるだなんてあり得るワケがないと透花は思った。

「成宮って、結構女子から人気あんだよね…告られたら透花どうする?」

透花は有り得ない話と思いながら「どうするって言われても…」と言いながら考えるだけ無駄と思う。

「マジで告白だったらOKしちゃう?カッコイイし、断るなんて勿体ないよ」

透花は困りながら「もぉ…違うって。お互いよく知らないのに、有り得ないよ」と少し呆れ気味に答える。

成宮の話題で盛り上がる友人達に透花は話を適当に流しながら昼休みが終るまでやり過ごした。

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