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その頃、藤沢は暫く適当にアチコチ走り回っていた。

スピードを上げると、何だかムシャクシャしてた気持ちも少しスカッとした。

夢中で適当に乗り回してる内に、いつの間にか教習所に辿り着く。

藤沢はブレーキをかけて止まると、暫くそのまま何やら考えている。

まだ明るいが日は暮れ出していた。

そして記憶を辿りながら透花の住むマンションの前に到着した。


今日から新学期が始まった事は透花もわかってたが、やっぱり学校へは行く気になれず結局休んだ。

晩御飯の準備の為に買い物へ行っていた透花は帰ってくると、マンションの前でスクーターに跨がっている人の姿に気付く。

同じマンション内に住む人だろうと思い、気にもせずマンションへ入ろうとすると、スクーターの人が透花の名を呼んだ。

「望月！」

名前を呼ばれた透花は振り返る。

そのスクーターの人を見て『藤沢君？…何で？』と思って足を止めたまま。

藤沢はバイクからおりて、メットを頭から外すと首にかけた。

目にかかる髪の毛を少し鬱陶しそうにかき上げながら透花の方へと歩いて行く。