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teardrop

第5章 5滴

藤沢はそのまま松本の家へと向かう。

松本の家に到着する頃、辺りはもう暗くなっていた。

松本は疲れきった顔で藤沢を迎え入れる。

部屋へ入ると、松本のやりかけてる宿題が藤沢の目に止まった。

松本は「まだ、宿題が残ってんだよね…この土日の間に何とか終わらせて、月曜には提出しようと思うんだけどさぁ…」と疲れたように話す。

「ああ、藤沢から借りてたプリントは写し終えてるから返すよ」

貸していた宿題のプリントの束を松本から手渡された藤沢は自分の宿題を見つめた。

松本がトイレへ行くと、藤沢が急にその辺にあった袋の中に自分の宿題プリントを入れて、松本の宿題まで無造作に詰め込んだ。

トイレから出てきた松本が自分の部屋に戻ろうとすると、藤沢が立ち塞がって強引に外へ連れ出した。

「急にどうしたんだよ?」

「今から花火しに行こうぜ!!」

「はぁ?花火?…いや、俺、まだ宿題終わってないって言ってんだろ…だから、そんな暇は…」

藤沢はスクーターのエンジンをかける。

「いいから、ほら!早く後ろに乗れって」

松本は渋々と藤沢の後ろに乗る。

そして、途中のコンビニに寄ると藤沢は花火を適当に買い漁って松本にも持たすと、すぐにまたスクーターを走らせた。

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