テキストサイズ

teardrop

第5章 5滴

広い公園に到着する。

そして、藤沢はライターと花火をいくつかまとめて松本に渡すと、自分もライターを持って次々に花火に点火していった。

最初はヤル気もなかった松本だったが、派手な花火に興奮してきて夢中になる。

藤沢と松本は、はしゃぎながら遊んだ。

花火が無くなってくると、藤沢は消えた花火をかき集めていた。

松本は線香花火を一人で楽しんでいた。

かき集めた花火の残骸に藤沢が火をつける。

線香花火を終えた松本が「何、焚き火なんかしてんだよ」と言いながら藤沢に近付いて行く。

藤沢は手にした袋から何やら焚き火の中へ入れて燃やしていた。

そして、ニヤッと笑いながら松本を見ると袋ごと焚き火の中へ放り込んだ。

すぐに勢いよく燃え上がる火。

松本はのけ反りながら「うわっ!危なくないか?火事になったらどうすんだよ」と言いながら火を見る。

そして気付く。

「だぁああああーーーっ!!」

燃えてるのは藤沢と松本の夏休みの宿題だった。

「藤沢ーっ!お前っ、これっ…!?何て事してんだよぉぉぉーっ!!」

驚愕しながら慌てる松本。

藤沢は満面の笑みをしながら「いいんだって!これで」と言って笑った。

燃えていく宿題を見ながら、どうする事も出来ない松本は、力なくその場で放心した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ