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teardrop

第5章 5滴

燃えカスになった宿題の残骸。

藤沢は大きなペットボトルの水をかけて、きちんと火の始末をしていた。

松本は呻くように独り言を言う。

「俺の宿題に何て事を…藤沢は鬼だ、悪魔だ、糞野郎だ…いや、糞だ!もうただのウンコだ…」

藤沢はペットボトルに残ってた水を松本にめがけて振り回す。

「誰がウンコだ!コラァッッ!!」

松本は濡れながら慌てて転げ回って逃げる。

「うわっ!ちょっ…やめろって!わかった!ウンコは取り消す!ウンコは取り消すからーっっ」

精も根も尽きたように松本はうつ伏せのまま、脱け殻のように絶望していた。

「マジで、何でこんな事すんだよぉ…俺、何か藤沢に悪い事したか?…あれか?ネギの事か?…そんなに恨まれるほど嫌いだなんて思ってなかったんだよ…謝るからさぁ…俺の宿題、返してくれよぉぉ…頼むよぉぉぉ」

ブツブツ言う松本。

「フハハハ…宿題なんて、どーでもいいんだよ!むしろ、せいせいしただろ?俺らはまだ高1なんだぜ…宿題くらいで人生、終わんねーって!」

笑いながら藤沢は松本の横に座った。


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