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思春期なのです。

第3章 予想的中

「やっぱ耳弱いんじゃん…かわいい声出てる」

「弱くないしっ…あっ…かわいくっ…ない」

「へえ…?」

じゃあどこが弱いの、なんて聞いてきて。

「しらないっ!」

気が緩んだすきに離れて背中をむけた。でも愁はそれを許さないとでもいうように後ろから抱き締めてきた。

「怒るなよ…こっち向いて」

「やだ」

「なんで」

だって…。
愁の今の表情は、いつもとはかけ離れているんだもん。

ギラついた獣のような目、少し赤くなった頬、濡れた唇。

あの無表情キャラがこんなに…本望剥き出しの顔を見せるなんて。

「恥ずかしい…」

嫌悪感はない。ただ、なんだかむずむずして見てられないんだ。

「いいじゃん、見せてよ。てか見たい」

「…っ!」

そういうことをさらっと言うから、

「亜紀の全部見せて」

なんていうお願いを断れない。

あたしがゆっくり振り向くと、待ってましたと、唇が重なった。


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