テキストサイズ

思春期なのです。

第5章 学校

そのときだった。

「おい」

低い声の主は茶髪の男の子の頭に大きな手を置いた。

「練習サボってんじゃねえよ。外周くらいてえのか」

「ちっ」

手を乱暴にはらって、皆ぞろぞろと散らばっていった。

「愁…?」

「ああ」

低い声の主は愁だったんだ。助けてくれた…。

「なに泣いてんの」

「だって…」

ホッとして流れた涙を愁はそっと優しく拭ってくれて。それだけで怖さも孤独感も全部するすると解けていった。

よかった。愁がいてくれて本当によかった。

「遅なってすまんな、ちゃんとつれてきたど…え?なに、なんで泣いとんの⁉」

ようやく戻ってきたあの子はかなり困惑していたけど。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ