
男子校の恋愛事情
第3章 守りたいもの
どれくらい時間が経っただろう
縛られていた縄をほどき、お互いが落ち着くまで続けた先輩との初めてのキス
「翔空……好きだ」
「!…このタイミングで言うのはずるいですよ…。俺はまだ…」
「分かってる。でも…好きなもんは好きなんだよ…。お前が例え俺のことを好きじゃなくても」
俺が困った顔をしていると、今はそれでいい。嫌いにさえなられなけりゃ俺は大丈夫だ。と言って優しい顔で笑うもんだからこっちが辛くなってきた
「…そろそろ帰るか」
フラフラと立ち上がるとすかさず先輩が背中におぶってくれた
「!1人で歩けるんで大丈夫です」
というと、俺がこうしたいんだから黙っておぶられてろなんて言う
そういう優しいことしないで下さいよ…。そんなことされると自分の気持ちが分からなくなってくるんです。俺は久我先輩のことは好きじゃない…はずなのに……こんなにも先輩にドキドキしているんです
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アパートに着くと中に入りベッドに下ろされる
「…大丈夫か?」
黙って頷くと、よしっと頭を撫でて先輩なりに気を使ってか、今日は帰ると言った
立ち上がった先輩の腕を掴んで、これまた無意識に「まだ帰らないで下さい」と言っていた
「っ…。あーもう!!」
突然大声を出した先輩に驚いていると、顔を両手で掴まれて言われた
「お前さ何でそういうこと言うんだよ。こっちは必死に色々耐えてるってのに、可愛いこと言いやがって本当なんなの?俺がお前のこと好きだって分かってんの?今日はあんなことがあって、お前は傷ついてるってのに俺はお前とキス出来て喜んでる最低なやつなんだからな?
だから1度頭冷やそうと思って帰ろうとしてたのに引き止めるし…」
「…俺だって今自分が何をしたいのかよく分かってないんですよ…。先輩のこと散々好きじゃないって言ったのに優しくしてくれる先輩にドキドキするし、今だって無意識に引き止めてるし…!キスだって拒否ってたのにいざされるとビックリするくらい心地よくて、離したくなくて……もう分かんねぇよっ…」
先輩の顔を見ると最初はポカーンとしていたものの、最後には笑顔になってこう言った
「翔空。お前……
俺のこと好きだろ?」
