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男子校の恋愛事情

第3章 守りたいもの


「ん…寝てたのか…って、久我先輩?」

目を覚ますと俺が寝ていた机の前の席に久我先輩が座って眠っていた

こうして改めて見ると本当美形だよなあ

なんでこんな美形な先輩が自分を好きになってくれたのか全く理解出来ない。そもそも本当に俺のこと好きなのか?

先輩のことが好きな人は少なくないはずだ
言い方は悪いが言ってしまえば相手なんて選び放題だ

にも関わらず、先輩に好意を持っているわけではない俺にこだわる理由があるのだろうか

……わかんね

時計を見ると5時を過ぎたくらいだった

そろそろ帰るか

「久我先輩ー、起きて下さい。俺帰りますよ」

声をかけるとうっすらと目を開けて、しばらくぼーっとしていた

「…いつの間にか俺も寝てたのか」

「そうですよ。なんで先輩がここにいるんですか?」

「一緒に帰るために決まってんだろ」

やっぱりそうか

そのまま流れで一緒に帰ることになったものの…

「先輩家の方向俺と逆ですよね」

「今日は寄り道したい気分なんだよ」

そう言って当たり前のように自分が車道に立ち、俺を歩道に入れる

……彼女扱いされてる?

送ってくれるみたいだけど、俺の住んでるアパート学校から歩いて10分くらいの距離なんだよな

ほら、もう見えてきた

「あ、俺の家あそこなんで」

「…なんで近いんだよ」

近い方がいいだろ普通!逆になんで近いといけないの?!

なんて話してたらあっという間にアパートに到着

「じゃ、失礼します。ありがとうございました」

「は?ちょ、待っ…」

パタン

最後まで話を聞くことなく自分の部屋へ入る

「…ちっ」

諦めて来た道を引き返していく姿を陰から見ている人物が1人

「あそこが西条翔空の部屋か」

そう呟くと、周りに誰もいないことを確認して、翔空の部屋のチャイムをならした

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