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なぜ?

第15章 訪問者2

「ムカつかない?淫乱まで言われて。」
「事実ですから…」
「それに普通とは違った抱かれ方してない?Mなの?」
「Mでしょうね。でもジュノさんは痛いこととか苦しいことはしないですよ。」
「前のオトコのこと?」
「…それも知ってるんですか?」
名津子の声が緊張した。

「うん。ごめん。」
「別にテギョンさんは悪くないじゃないですか!そっかバレてんだ。もう時効ですよね?10年以上も前の話だし…元カレに殺されかけたなんて、笑っちゃいますよね?」
「ソイツにされてたの?縛られたり、さ…」
「…ん。私ね、初めてできた彼だったんです。当時って、日本に来たばかりで、友達もいないし、外にもほとんど出なかったの。いつも家にいて、彼が来るのを待ってた。愛人みたいですよね、お金貰ってた訳じゃないのに。友達でもいれば彼とのことを話したりして、普通じゃないって気づくんだろうけど、それもなかったし。」
「言わなかったの?やめてとか、イヤだとか。」
「嫌われたくなかったの。彼がいなくなったら、また一人になっちゃう。誰も来ない部屋でずっと一人。外に出るなんてことも思いつかなかった。」

強烈な洗脳だと思った。カルト教団とかが行う手口と一緒だ。監禁し、言葉や暴力で人格を破壊してから、自分だけが絶対的な存在だと植え付ける。名津子の場合、両親を突然亡くしたことでベースはできてんだから、洗脳は簡単だったろう。

「ジュノがしてることって一緒に思えるけど…」
「う~ん。似てるけど、違いますよ。少なくともジュノさんは仲間に私のことを隠してないでしょ?それに、ジュノさんの戯れが酷ければ、止める人もいるし。テギョンさんたちやジョディの存在は大きいですよ。」

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