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なぜ?

第16章 悪夢の始まり

「こんにちは。名津子、久しぶりだね。」
「うん。御無沙汰してます。」

亮介は俺たちの存在を確認した。
「お久しぶりです。ジュノさん、お怪我は大丈夫でしたか?」
「ええ、すっかり…」

俺、亮介に睨まれてる気がする。気のせいかな?

「じゃあ、名津子、行ってくるね。」
「あっ、はい。いってらっしゃい。」

名津子は笑顔で俺たちを送り出した。俺は、何だかイヤな予感がした。



「亮介さん!名津子さんたらヒドイんですよ!下宿させてんのに、教えてくれないんです!もう~!私も一緒に住みたいっ!」
「名津子、一緒に住んでんのか?」
「住んでるっていうか、家政婦みたいなもんよ。」
「でも、一緒に住んでんですよね!?」

愛ちゃんと若葉ちゃんは、ブーブー文句を言いながらも、ミンジュンさんと一緒に写った写真を見て、えらくご機嫌だった。

4人で昼食を食べ、乗馬倶楽部での思い出話、愛と若葉の大学の話などをした。
私と亮介はもっぱら聞き役だ。
私はいつ亮介がアリエルでのことを持ち出すか心配で堪らなかったが、それは稀有に終わった。


「あっ!こんな時間だ!夕方までに合宿所に戻んないと行けないんです!」
「馬術部も大変ね~。」
愛と若葉は玄関に急いだ。その後を亮介が追った。
「駅まで送るよ。車で来てるし。」
「ホントに!うれしい!」

亮介は車に愛と若葉を乗せて、そのまま帰ることになった。

「名津子さん!次は絶対に教えて下さいよ!きっとですよ!」
「はいはい。じゃあ、亮ちゃんよろしくね。」
「うん。名津子、元気でな。」
「うん。亮ちゃんも。」

名津子は車を見送り、家に戻った。

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