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なぜ?

第18章 二人の時間2

電話を切り、名津子の方を向く。

「ハングルわかるの?」
俺は、ハングルで名津子に話しかける。

「うん?勉強中。わかるってほどじゃないよ。」
俺が聞いてもネイティブと勘違いするほどのキレイな発音。
俺の日本語より相当できる。

「いつから話せるの?どうして黙ってたの?」
「えっ?ジュノさんが日本に来たときには話せたよ。でもね、私がハングルで喋っちゃったら、ジュノさんの日本語の勉強にならないでしょ?」

スッゲーもっともらしい言い分。返す言葉もない。
しかもコイツ、話せるって言ったよな?
何が勉強中だ!そういうのは、日本に初めて来たときの俺のようなのを言うんだ!
しかも俺の頬に指を沿わせながら微笑みやがった。
コイツがごまかす時の常套句だ。


「それに、テギョンさんやミンジュンさんとはハングルで話してたよ。知らなかった?」
「知らなかった…」


ミンヒョン!テクヒョン!言えよ!!



「ジュノ~、怒った?」
「別に…」
俺の頬を摘まみ、ふるふると揺らす。
「ジュノと韓国で住むときにビックリさせたかったの。ごねんね?」
「…うん。わかった。」
また俺の頬に指を沿わせながら微笑む。
だから、オマエの魂胆はわかってるんだ!
わかってるんだけど、従ってしまう…

「お粥、美味しいよ。」
俺の口にスプーンでお粥を差し出す。
口に含むと名津子はうれしそうに笑った。



…俺、完全に転がされてる。

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