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なぜ?

第9章 遠距離

「じゃあ、行ってくるね!」
「ジュノ、おかしいだろう?オマエの家はソウルだろ?」
「えっ?ここも俺の家だし。カムバ終わったらすぐ帰ってくるし。」
「ジュノさん。いってらっしゃい。」

名津子に見送られ俺はソウルに戻った。

これからカムバまでの1ヶ月。怒濤のスケジュールが待ってる。
カムバが終わってもしばらくはバタバタだ。

名津子に会えるのは早くて2ヶ月後。
それまでの辛抱だ。



「帰っちゃったね。」
「うん。」
「淋しい?」
「うん。でも、仕方ないよ。」
ジョディと開店準備をしながらも、頭の中はジュノでいっぱいだ。

「ジョディ、いつもありがとう。」
「どうしたの?キモいわよ!」
「キモいって…伯父様に言われて、私の面倒をみてくれてるんでしょ?ホントはジョディだってやりたいことが…」
「名津子、知ってたの?」
「何となくだけどね。いっつも困ったときには、ジョディがいたもん。」
「あのね名津子。私があなたといるのは、私がいたいからよ。言われたからじゃないわ。」
「うん。ありがとう。」


「ねえジョディ。カムバ、見に行かない?」
「…それはちょっと…2ヶ月ぐらい、ゆっくり待ったら?離れてんのも新鮮でいいわよ。そうしましょ!」
「…そおかな?」「そうよ!」


あぶない。うっかり返事するとこだった。
ゴメンね名津子。今はまだあなたを韓国には行かせられない。


「ジョディか?…名津子の警護を強めてくれ。…特に韓国には絶対に行かせるな。…ああ、とんでもないヤツが名津子を狙ってる。…ああ悪いな。いつもありがとうジョディ。」
慶一郎はジョディに指示を出し、電話を切った。


「はあ…名津子…」

慶一郎の机の上には、イジュノに関する報告書。
慶一郎は基本的に名津子の自由にさせてるが、以前の失敗があるので、
心配になり調べさせた。

本人もメンバーも何の問題もない。むしろこちらからお願いしたいレベル、
名津子を選んでくれてありがたいとさえ思える。

ただひとつ。厄介なモノが。

ジュノに付きまとってるリナというオンナ。ろくなもんじゃない。
事務所もジュノを保護してるが、名津子までは無理だ。

…仕方ない。一番使いたくない手を使うか。
「私だ。ある人物の入国を拒否してほしい…」

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