売り専ボーイ・ナツ
第3章 初めてのお客さん
その時がきた。
ピーンポーーーン。
少し間延びした間抜けなチャイムが鳴る。
「ナツくん、お客さんだよ」
黒髪のコウさんがそういって、座っていたデスクのいすをくるっとまわし、俺のほうを振り返った。
ドクンっ。
俺は自分の心臓に血液が流れ込む音を聞いた。
人生で3度目に聞く音。
志望の大学に受かった瞬間と、初めて男に抱かれた時以来だ。
コウさんがお客さんのことを話してくれるが、俺はそわそわしてそれどころじゃない。
お店がオープンした時から来てくれるいいお客さん
新人が好きで入っていたボーイはみんな最初はそのお客さんに抱かれている
無理なプレーはしないから緊張しなくていいよ
そんなことを言われた気がする。
コウさん「いい?部屋に入ったら玄関で挨拶して。ベッドで寝ているはずだから、そのままベッドに入る。添い寝しながら自己紹介して。会話しているうちに触ってくるから」
「玄関はいる時はノックしますか?」
違う。俺が聞きたかったのはそんなことじゃない。
でも、なぜかそんな質問が口から出た。
「しなくていい」
コウさんはそう言って続けた。
「服の上からいろいろ触られると思うけど、脱ぐ前にはちゃんとシャワー行こうって言ってくれるから」
いったいどんなお客さんなんだ。
頭の中で、できる限り気持ち悪いおじさんを想像した。
気持ち悪いおじさんと添い寝する俺。気持ち悪いおじさんに触られる俺。
気持ち悪いおじさんの体を洗ってあげる俺。
最低のことを想像していれば、きっとそれよりはマシな現実が待っている。
「はい、行っておいで」
コウさんに言われ、俺は立ち上がった。
「いってらっしゃーい」
スカイくんがニコニコ笑って手を振った。
黒髪タトゥーのボーイと中肉中背茶髪ボーイも俺を見て手だけ振っている。
タイキくんは・・・まだ寝てる。
よし。行くぞ。
俺は控え室を出て、さっき黒ビキニで写真を撮っていた隣の部屋のドアに手をかけた。
ピーンポーーーン。
少し間延びした間抜けなチャイムが鳴る。
「ナツくん、お客さんだよ」
黒髪のコウさんがそういって、座っていたデスクのいすをくるっとまわし、俺のほうを振り返った。
ドクンっ。
俺は自分の心臓に血液が流れ込む音を聞いた。
人生で3度目に聞く音。
志望の大学に受かった瞬間と、初めて男に抱かれた時以来だ。
コウさんがお客さんのことを話してくれるが、俺はそわそわしてそれどころじゃない。
お店がオープンした時から来てくれるいいお客さん
新人が好きで入っていたボーイはみんな最初はそのお客さんに抱かれている
無理なプレーはしないから緊張しなくていいよ
そんなことを言われた気がする。
コウさん「いい?部屋に入ったら玄関で挨拶して。ベッドで寝ているはずだから、そのままベッドに入る。添い寝しながら自己紹介して。会話しているうちに触ってくるから」
「玄関はいる時はノックしますか?」
違う。俺が聞きたかったのはそんなことじゃない。
でも、なぜかそんな質問が口から出た。
「しなくていい」
コウさんはそう言って続けた。
「服の上からいろいろ触られると思うけど、脱ぐ前にはちゃんとシャワー行こうって言ってくれるから」
いったいどんなお客さんなんだ。
頭の中で、できる限り気持ち悪いおじさんを想像した。
気持ち悪いおじさんと添い寝する俺。気持ち悪いおじさんに触られる俺。
気持ち悪いおじさんの体を洗ってあげる俺。
最低のことを想像していれば、きっとそれよりはマシな現実が待っている。
「はい、行っておいで」
コウさんに言われ、俺は立ち上がった。
「いってらっしゃーい」
スカイくんがニコニコ笑って手を振った。
黒髪タトゥーのボーイと中肉中背茶髪ボーイも俺を見て手だけ振っている。
タイキくんは・・・まだ寝てる。
よし。行くぞ。
俺は控え室を出て、さっき黒ビキニで写真を撮っていた隣の部屋のドアに手をかけた。