普通×地獄=不幸↓
第1章 最初の夢と現実
目を覚ました。雨は降り続いていた。座りこんだまま観もしないTVをつけたまま、見た夢を思い出していた。(仕事が終わり、会社の駐車場に仲間三人で向かいながら話をして歩いていた。会話の内容は解らなかったが、「じゃあな。また明日、お疲れさん。」と、自分達の車に向かった。仲間は、すでに車を出し帰宅した。広い駐車場には、まだ多くの車があった。私は、だいたい自分が停めていた車の場所に向かったが、車が見当たらない。駐車場の中、端から端まで捜したがどうしても無い。そこに、他の社員が来た。車の事を聞いてみたが解らない。もしかしたら、自分の勘違いで、隣りの駐車場に停めてしまったのかと思って、探しに行った。やはり、そこにも無かった。私は、駐車場全体を見渡し続け呆然として立っていた。)現実の世界に戻った。雨がますます強く降ってきた。ハローワークに行くつもりだったが、この大雨の中、40分かけて歩いて行くのがいやになった。仕事が確実に決まる保証もない。本当は、強い気持ちを持っていれば、行っていただろう。だが、今の自分には無理だ。座っていた私の目の前に、飼い猫のトラ吉が私をじっと見つめながら座り込んでいる。何か私に言いたそうに。不思議な感じがした。私に「どうしちゃったの。元気出して。」と言っている気がした。普通猫は、飼い猫であっても、あまり人にはなつかないと聞いていた。相手にもよるが、私は少なくともトラ吉には好かれいる様だ。三年程前に、勤めていた会社の現場が終わり、次の現場が始まる予定が無く警備保障会社に半年間勤める事があった。仕事内容は、不法投棄のパトロールでした。夜10時から朝の5時まで、社用車で巡回、張り込みや不法投棄物の証拠写真などの業務で二人一組のチームで仕事をしてました。ここで、トラ吉と出会ったのです。 つづく