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普通×地獄=不幸↓

第1章 最初の夢と現実

一日一日がただ黙って過ぎていく。妻からは、どうするのと口癖のように言われた。約2週間くらいたったころに、盛岡から事情聴取をもう一度取りたいと電話がきた。指定日に盛岡に向かった。2時間くらいで終わる予定だった。警察官からの聴取が始まった。私の話など全く聞き入れてくれない。むしろ一方的であった。警官が聴取書類を何度もやり直し、特に違反処分が変わることもなく終わったのが5時間くらいかかった。私はまた秋田まで戻った。とにかく、精神的に疲れた。私は仕事を探し始めた。現実は厳しい。それなりに様々な資格はあったがここは秋田。車の免許が無ければ話にならない。私は、また家に閉じこもった。妻が仕事から帰ってきた。私の祖母が夜に救急で病院に運ばれたと聞いた。私の母から妻に連絡があったらしい。本当は、母は私に連絡したかったと思う。しかし、妻から私の状態を聞いていたのだろう。母なりに気を使ったのだろう。私はまだ免許所持していたので自分の車で病院に向かった。個室に酸素マスクをして静かに眠っていた。医師がきた。私は孫だったので状態などの説明を話してくれた。もって一週間と言われた。意識はあり、話かけると何度も頷いた。声も出した。私の運転免許を警察署に返納する日が近づいていた。私は免許センター、警察署に電話をかけて事情を話し免許返納日時を伸ばしてもらった。毎日、朝から晩まで面会時間いっぱい着いていた。今の私にはそれぐらいしかできなかった。今思うと、私が免許を取ってから祖母が車を買ってくれた。何ていうことだ。数日、身内や知人が集まり病院に来ては声を祖母にかけていた。病院には、状態が悪化したり急変したら私に連絡がくることになっていた。一週間ちかくたった。私はいつものように面会時間いっぱいまで居た。帰り際、またくるよ。もう声も出せない祖母がうなり声を挙げた。その深夜、2時に枕元に置いていた携帯電話が鳴った。お別れの音だった。 つづく

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