普通×地獄=不幸↓
第1章 最初の夢と現実
トラ吉が、窓から庭をじっと見ている。その後ろ姿を眺めていた。トラの目には、景色がどう見えるか、また何を考えているのだろうか。幸運を呼ぶ招き猫とよく聞くが、それが本当なら信じたいとこだ。いや、そんなことに縋る方がおかしなことだ。神奈川の叔母から、また荷物が届いた。いろんな食材やら私の靴に衣類、下着まで買って。叔母は、私の事を心配しているのがわかる。妻はお礼の電話をした。子供達も話した。私は、話す事ができない。情けない。叔母は、きっと私と話しをしたいはず。申し訳ない気持ちだ。私には、6歳離れた兄がいる。相談するにもこんな状態では何も話せない。20年ぐらい会ってない。会ったのは祖母が危篤状態の時だった。電話では何度か話しはした。私が転校した理由は、親の離婚である。兄は父に、私は母に。母は再婚したがうまくいかず離婚をし、また再婚した。バツ2である。名字も三度も変わった。まあ、私はあまり気にしていなかった。今更、とやかく言ってもしょうがない。母は、私が苦しんでいるのは自分の責任だと思っている。そんなことはない。私の自業自得だ。自分で身を滅ぼしてしまい、逆に迷惑や心配をかけている。精神病に肝硬変、無職となり何もできない。早く立ち直りたいが、私の目の前の道はまだ無い。 つづく