普通×地獄=不幸↓
第1章 最初の夢と現実
私は、今もう一人大切な人を失おうとしている。それは、亡くなった祖母の妹である。脱水症状で病院に運ばれた。私も病院に行ってみた。意識はあったが喋ることができない。酸素チューブを鼻に付け、点滴をしていた。私が声をかけると、うっすらと笑いうなずいた。私と会うのは、5年ぶりだった。叔母さん(祖母の妹)は、私が生まれた時から面倒みてもらった。私が引っ越してきた時、母は仕事で私は学校が終わると毎日母が仕事から帰ってくるまで、叔母さんの家にいた。小さい時から一緒だった。私は大人になり子供を連れ、何度も遊びに行っていた。叔母さんは、私が遊びに行くたびに、私の小さかった頃の話しをしていた。学生の時も、休みの日はよく遊びに行っていた。小学生の時は、叔母さんと同じ布団でよく一緒に寝ていた。私は、叔母さんに「大人になったら車でドライブに連れていく」と、よく話しをしていた。私が大人になれば、叔母さんも年はとる。叔母さんは、いつも私の心強い味方だった。病院の医師の話しでは、あまり状態がよくないらしい。叔母さんの家では、身内や親戚が来ていろいろ片付けている。私は、みんなに会いたくないので、夜に面会に行った。叔母さんは、見舞いに来る人達のことを覚えていないようだが、私のことだけはハッキリと覚えていた。声をかけながら手を握ると、何度も握り返してくる。叔母さんは、今の私の状況は知らない。叔母さんの手を握りながら、私が会うのはこれが最後かもしれないと思った。妻に伝えた。「もし、叔母さんが亡くなってしまっても俺は葬式には行けない」と。今は、叔母さんに面会に行くことしかできない。そして、私自身も体の体調がよくない。心臓の痛みが気になっている。妻に病院に行くかと言われた。私の人生の歯車は、もう修復不可能なところまできている。 つづく