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普通×地獄=不幸↓

第1章 最初の夢と現実

叔母さんの見舞いには、週2.3回行っている。だんだん、衰弱しているように見えた。身内や知人のことも忘れている。私のことだけは、覚えていた。話し掛けると頷き、声を出そうとしている。私は、手を握り締めたまま叔母さんの顔を見ている。私は未だに家に閉じこもっている。子供から言われた。「お父さん、どうしていつも家に居るの。仕事お休みなの」と聞かれた。私は、「お父さんは今病気で休んでいる。治ったら仕事するよ」と。それしか応えられない。今の私の頭の中は、叔母さんの事と検察庁からの連絡でいっぱいだ。薬の飲む量も増えた。妻に、お盆休みの墓参りには、行かないと言った。誰とも会いたくないので、休みの日に妻に連れていってもらった。亡くなった祖母と祖父の墓の前で祈った。(俺を助けてくれ。もう自分だけの力では立ち直れない)私は、妻の実家の墓参りにも行かないと帰りの車の中で妻に言った。どこまでも堕ちていく自分が何の為に生きているのか解らなくなった。今は、家に居て家族と会話を交わすようになったが、以前とはまるで別人だ。口調に態度が変わった。妻には何かと文句を言い、テレビを相手に怒り、人を平気で傷つけることを言うようになった。世間や世の中を怨むようになった。本当の自分が解らなくなった。 つづく

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