愛は要らないから…
第14章 俺のもの
「いただきます!」
お昼までの食欲の無さが嘘みたいに
目の前のハンバーガーに思いっきりかぶりついた
「うーまー…」
「ふふ、いい顔」
そう言われて荒井に目を向けると見つめあっちゃって
少しうつむきぎみになって照れ笑いしてしまった
久々に話すし改めて顔を見ると…さ
「あのさ…何があったか聞いていい?
言いたくなかったら言わなくていいから」
「………」
何があったか…
「何があったんだろうな…」
色々ありすぎて分かんないや
だけど…
これだけは言える
「時間が戻ったらいいのにね」
そしたらどこからやり直そう
兄とする前?静也と会う前?夜の街に通う前?
「ごめん、やっぱあんま考えたくないや…」
どうしたって時間は戻らないし
解決するには話すより忘れた方がいい気もしてきた
「うん…俺こそごめんね」
荒井はそう言うと気を紛らわそうと話を変えて
食べてって催促してくれて
俺を楽しませようとしてくれた
お陰でそこまで考え深くならずに済んだのに…