愛は要らないから…
第14章 俺のもの
冬休み
朝から携帯の電源を切り外に出掛け
色々なお店をまわる気も起きず
夜になるまでファミレスで過ごした
よし…そろそろ行こう
賑わう夜の街へ
昔のように
俺らと同じ類いのお店の前で話し掛けるだけ…
そうすればきっと捕まるから
あっ…
ちょうど店の中から一人だけ出てきた
あの人にしよう
俺は意を決して声をかけた
「あの…!」
相手の人はキョトンとしつつも俺の声に反応してくれて立ち止まってくれた
うん、いけるかも…!
「男の人に興味あるんですか?」
「なに、いきなり…」
「さっきあのお店から出てきましたよね?
俺、今日泊まるとこ無いんです…」
そうして俺はあざとく
彼のコートの裾をきゅっと掴んだ
「ホテル…行きませんか?」
とどめのセリフを吐くと時間が止まったみたいに固まったけれど
相手の人から腕を捕まれた
その瞬間ちょっとだけやっぱり怖くなったけど
久々なだけだからって
覚悟を無理矢理決め直した
これで成功って…事でいいんだよな?