愛は要らないから…
第14章 俺のもの
「家出?」
腕を捕まえれたまま前を向いて歩く彼が問いかけた
「お金がないのに冬休みの間こっちに出てきただけです」
あまり心境には触れずにそう答えた
家出っちゃその言い方も家出かもしれない
つか、家出で間違ってないか…
でもストレートに言うと警察につき出される事だってありそうだし、この返事で正解だろう
「俺の家来る?」
「……え?」
「ホテルも家も変わらないでしょ?」
すると掴む力が一層強くなった
監禁とかしないよね…
俺はその一瞬のせいで恐怖感と嫌悪感が戻ってきてしまった
「じゃ、じゃあ俺がホテル代出すから…
早くしたいんです」
「あれ、なんで嘘つくの?」
「えっ…」
「お金ないんでしょ?
それに冬休みの間中なら、こっちのがいいに決まってる」
なに言ってんだ…この人…
俺、完全に不正解な答えを出してしまった?
嫌だ
あくまで一夜限りじゃないと
完全に他人じゃないと嫌だし
この人に恐怖しかない
もう嫌だ
俺は……