愛は要らないから…
第16章 あの日の荒井
荒井side
話は遡って
秋くんと久々に放課後ファミレスに行った日
秋くんが突然逃げるかのように帰った後のお話
「秋くん……」
どんどん遠ざかる彼はやがて視界から消えた
原因は……
「お兄さん」
俺は偶然会えたことに嬉しくて微笑んでる表情を見せた
「あぁ…秋の…買い物?」
「そちらこそ、お二人で?」
お兄さんの隣には女がいた
だから秋くんは…
彼女は俺に軽く会釈をするけど今じゃ
なんの仕草も嘘に見えて不愉快極まりない
「もしかしてデート中でしたか?」
「やだなぁ、私他に彼氏いるし
大和くんには好きな人いるんだもん。ね?」
「そんなこと一言も言ったことねぇけど」
「態度がそう言ってんの!」
付き合ってはないのか
でも、確証がほしい
「じゃあなんでお二人で?」
「その好きな人とうまくいってないみたいで元気ないんだよね…
だからうちらが遊びに誘ったりしてんの
今日もみんなで宅飲みだ!って料理できないうちらで買い出し」
なるほど
それでうまくいってないのは秋くんで間違いなさそうだけど…
「お姉さん、大和さん借りてもいいですか?」
「は?」
「全然全然!私買い物くらい一人で出来るし、少しの間なら構わないよ」
「ありがとうございます!さ、行きますよお兄さん」
お兄さんは乗り気じゃないみたいだけど
彼女は願いを受け入れてくれて
俺は無理矢理腕を掴んで連れていった