愛は要らないから…
第6章 叶わぬ恋
「………き……秋…」
「し、ずや…?」
目の前にはその名のいた
俺の…会いたくても会えなかった人……
俺はビックリしてベンチから立ち上がった
俺の名前呼んだ
本物の静也だ……
「泣かないの」
静也も目に涙をためつつ、笑いかけてくる
そしていつの間にか流れた涙を静也の指で拭ってくれた
「秋…頑張ってね」
笑顔のままそう言われて肩をポンっとされると
俺に背を向け遠退いていく
「静也!待っ………」
俺はそこで目を覚まして
ベンチから飛び起きた
外はもう真っ暗になる寸前だった
夢…か……
ふと気づくと
本当に温かかった気がして
他人に触られた感触がある気がして
俺は夢のなかで掴まれた方の肩を自分でも
強く掴んだ
「っ…くっ……うあぁぁぁ!」
我慢できずに子供みたいに泣いた
やっぱり会いたい
好き
まだ好きだもん
でも分かってるから。会わないから。
だから今日だけ自分に正直になって
このまま落ち着くまで泣いていた