
愛のカタチ
第1章 ON~社会人×大学生~交わる心編~
和「こうでしょ?」
この人は優しいから、今やめたらこの先なかなか手を出してくれないんじゃないかと思った。
だから俺は少し焦ったんだ。
折角俺に触れてくれたのに、また離れてしまう貴方に焦ったんだよ。
和「俺だってできるもん…」
今さっき教えてくれた、本気のキスとやらをして見せるんだ。
智「ふふ…、甘いな」
和「ん…」
覚えたてのキスは覚束なくて、あっという間に主導権を奪われた。
和「ん、甘いって、なによ…」
智「キスだよ。和のキスは、甘い…」
キスの仕方が甘いと呆れたのか、それとも俺の唇が甘いと喜んだのか。
どっちとも取れる笑みを浮かべるんだ。
智「俺が今から何しようとしてるか分かってるの…?」
和「わかってるよ」
わかるよそれくらい。
俺だって童貞じゃないんだ。
智「俺のものに、しようとしてるんだよ?」
和「ん」
真っ直ぐ俺を見る。
その眼差しは深くて、透明で。
智「お前が準備出来てないなら、俺は待つよ」
俺にキスしたかったくせに。
和「もう待ったじゃん」
ずっと待ってたくせに。
和「ずっと俺に、触れたかったんでしょ?」
その手がウズウズしてるの、分かってるよ。
和「俺もだよ」
智「え?」
和「俺も、ずっと待ってた」
俺がいつも貴方にくっついてた理由わかる?
和「ずっと、おおのさんに触れて欲しかったんだよ…」
智「和…」
触れたくて、触れられたくて。
我慢出来なかったんだ。
だからいつもくっついてたんだよ。
和「ね、早く…」
お願いだよ、離れないで。
和「おおのさんの体温、知りたいよ」
早く俺に、触れて。
