愛のカタチ
第2章 NO~サラリーマン×花屋~天使みつけた編~
天使を見たあれから数日。
予想外のトラブルでいつもより多めの残業を強いられた。
和「え、土砂降りじゃん」
トラブルさえ無ければこんなに降られる事も無かったのに。
俺はとことんツイてない。
和「傘なんて持ってねえよ...」
仕方が無い。
もう帰るだけだしびしょ濡れで帰るか。
幸い俺は体だけは丈夫だし、多少濡れたって風邪なんて引かないから。
和「ん...?」
ズブ濡れの天使が居た。
電柱の陰に隠れる様に身体を縮こませて丸まってた。
そのズブ濡れた感じは、天使というよりは、濡れたドブ鼠みたいだったけど。
◇「さむ...」
ガタガタと震える身体は冷たそうで。
唇は紫色になっていた。
◇「...っくしゅ」
天使のくしゃみは可愛い。
頭をぷるるっと震わせて小さなくしゃみをした。
和「どうしたの?」
◇「え...?」
どうせ男と喧嘩でもして飛び出して来たんだろう。
和「こんな所で、風邪ひいちゃうよ?」
俺を見上げる丸い瞳がキラキラしてる。
まあ、電柱の街灯が映ってるだけなんだろうけど。
和「家は? 帰んないの?」
◇「あ、鍵...、無くしちゃって...」
下手な嘘だ。
男と喧嘩して帰れなくなったと素直に言えばいいのに。
あ、そうか。
警戒してるのか。さすが人間だな。
和「じゃあ、俺んち来る?」
◇「え?」
和「だってそんなんじゃ風邪ひいちゃうでしょ。着替え、貸すよ」
天使じゃ無いんだったらいいよな。
お持ち帰りしよう。
だってこんな所でズブ濡れで落ちてたんだ。
落ちてたものを拾ったって、別に悪くは無いだろう。
後でちゃんと返せばいいだけなんだから。
盗んだ訳じゃない。
俺は天使を、拾っただけだ。