
愛のカタチ
第2章 NO~サラリーマン×花屋~天使みつけた編~
和「君、名前は?」
なんだかんだと優しい言葉を投げ掛けてやれば、案の定大人しくついてきた。
◇「...智」
和「サトシ?」
驚いた。男かと思った。
和「へぇ、変わった苗字だね。下の名前は?」
◇「え...、だから、智…」
は?
俺は自分でも自覚してるけど、結構な面食いだ。
女ウケが悪かろうと良かろうと、可愛い子が大好きなんだ。
和「え 君、まさかだけど、ひょっとして男...?」
◇「え? うん」
そんな俺が見つけた天使は男だった。
和「サトシ?」
智「うん」
和「うそでしょ」
ナンパなんてした事無かったんだ。
そんな俺が折角勇気を出してのお持ち帰り。
それがまさかの男とは。
和「あ~、鍵。ソコに落ちてるよ」
智「えっどこ」
和「ほらそこ」
智「どこどこ」
一生の不覚だ。
いやまあそんなモン。しこたまあるけど。
智「無いよ?」
和「あるよ。ちゃんと見ろよ」
こんなのお持ち帰りする訳にはいかない。
俺の言葉を信じてちょろちょろと道端を動き回る姿は少し可愛いけど。
それでもコイツは男だ。
こんなの天使でもなんでも無い。
智「あっ、ちょっと待ってよ!」
その後ろ姿を見ながら俺はそっと離れて行ったんだ。
コイツに気付かれない様にと忍び足で。
だけどすぐに見つかった。
あの曲がり角の手前で言えば良かった。
和「...なんだよ」
智「鍵無いよ?」
和「だから?」
智「行っていいんでしょ? 家」
やっぱ天使じゃねえ。
クソ生意気だ。
まあ、誘ったのは俺なんだけど。
だけど今の流れだと、俺の気が変わったと察するのが普通だろう。
まあまだガキみたいだし、そこらへんの脳ミソは待ち合わせて無いのか。
なるほど、納得だ。
