
愛のカタチ
第2章 NO~サラリーマン×花屋~天使みつけた編~
和「お前はココ。な?」
勝手についてきた野良猫に言い聞かせる様に俺は言う。
智「さむい」
和「俺が先なの。ここ俺の家、わかる?」
びしょびしょだからココで待ってろと、智を玄関に立たせた。
その捨て猫の様な眼差しに背を射抜かれながら、俺はとっととシャワーを浴びる。
ガチャッ
和「ああ、あったかいな...ってなんだよっ!」
智「もう無理! 俺も入れてっ」
ひとりでシャワーを浴びてたら、智が乱入してきた。
和「はぁ? ふざけんな、出てけって...」
智「もう駄目。凍えちゃう」
服を着たまま飛び込んできた智はガタガタと震えてた。
和「...そんな寒いの?」
智「ん」
唇を紫に染めて、両手で自分を抱き締めてる。
なんだかその姿があまりにも哀れで。
可哀想な事をしてしまったかなと、罪悪感みたいなものを感じた。
和「ほら、こっち来なよ」
背に温かいシャワーをかけてやる。
すると、智はふわっと微笑んだ。
智「あったかい...」
その笑顔はまるで天使の微笑みだ。
俺が初めて智を見つけた時の、あの笑顔だ。
和「これ脱がなきゃ冷たいままだよ」
智「うん」
だけど智の指先は小刻みに震えていて。
ボタンが上手く外せないんだ。
和「かして」
智の手をどけ、俺がボタンを外してやった。
智「...名前、なんて言うの」
濡れたシャツから妖艶に艷めく肌を覗かせて智は問う。
和「和也」
智「カズナリ?」
和「うん」
少し温まったのか、青白かった頬の色が戻って来た。
智「ありがと、カズ」
和「 馴れ馴れしく呼ぶんじゃないよ」
智「だって、俺と同じくらいでしょ?」
和「...どう見たって違うだろ。俺はそんなガキじゃない」
はだけたシャツの隙間にシャワーを当ててやるんだ。
その温もりで緩んだ瞳をきょとんとさせて、そうなの?なんて小首を傾げやがる。
和「お前いくつ?」
智「ハタチ」
もう成人してたのか。
ならやっぱり天使じゃないな。
未成年みたいな顔しやがって紛らわしい。
和「じゃあ俺がお兄さんな。俺は24だ」
智「えっ」
そんなに驚く事無いだろう。
俺はもう大人なんだ。
そう、大人だ。
お前みたいなガキが知らない様な事、沢山知ってるんだ。
