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愛のカタチ

第2章 NO~サラリーマン×花屋~天使みつけた編~



和「サトシ...?」


いない。どこ行ったんだ。


和「おーい」


返事も無い。
まさかのアレか。夢だったとかいうオチか。


智「ん...」


寝室の方から聞こえた小さな呼吸。
俺はその呼吸に導かれるように寝室へと足を向けた。


和「...何を勝手に寝てんだよ」

智「寒かったんだもん...」


ウトウトとしてたのか。
ぼーっとした様な寝惚け眼で俺を見上げるんだ。


和「あっ。枕びちょびちょじゃん!」

智「んふ、ごめん...」


俺が目を見開いて怒っているというのにこの始末。
びびらないどころか、布団から顔を覗かせふわっと笑うんだ。


和「早く出ろって」

智「あっ」


ガバッと布団を捲った。
そうしたら、そこには月の灯りに照らされた白い裸体が浮かび上がる。


智「寒いよ」


布団を返せと身を捩る。
そのせいで、腰に巻いた小さなタオルが今にも外れそうだ。


和「...まだ寒いの?」

智「うん」


雨も上がったようだし、服を貸して追い出す事だって出来る。

でもそんな気にならなかった。


和「温めてやろうか?」

智「え?」


闇に浮いたその白い裸体は、俺を誘っている様に見えた。


和「すぐ温かくなるよ」

智「え、ちょ...」


まるでお伽噺に出てくる様な明るい髪。
その明るい髪に映える白い裸体。


智「やめ...」


その小さなタオルの上に手を這わす俺を、キラキラした瞳が見つめるんだ。


和「只の人間なんだろ?...見せてみろよ」


濡れた髪の隙間からまるい瞳を覗かせる。

人間に捕らわれた天使は怯えるんだ。

その羽根を小さく折り畳んで、ぷるぷると震える。


和「只の人間なんだって、俺に見せろ」


その怯えた瞳は揺れる。


ふんわりとした微笑みを隠して、為す術もなく瞳を揺らすだけだ。






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