
愛のカタチ
第2章 NO~サラリーマン×花屋~天使みつけた編~
本当はそんなの言い訳にしかすぎない。
智の中は熱くて気持ちよくて、その不思議な感覚から抜け出せなかっただけだ。
智「んぅっ」
俺にしがみつき、智はその刺激に耐える。
眉をしかめ、目をぎゅっと閉じ、声を殺しながら耐えているんだ。
智「か、カズ...っ」
困惑の声。
話が違うじゃないかとでも言いたそうなその声色。
智「は、はぁっ、ぁ」
その声に翻弄され、俺の脳は全く意識を持たない。
智「んぁ...、だ、駄目だっ...て...」
血が出そうな程に強く俺の体に爪を立てた。
その痛みに、ふと脳が意識を取り戻した。
和「あ...、ごめ...」
智「...っ、ふ」
緩やかに動いていた俺の動きを止めて智を見た。
罰の悪そうな顔をして智を見ると、智は少し俺を睨んでいた。
和「...本当ごめん。今度こそ、ちゃんと抜くから」
智「も、いいよ...」
睨んでいた顔を、諦めの表情に変える。
和「え...?」
智「今やめたところで、ヤラれた事に変わりは無い」
その諦めの表情さえも緩ませ、柔らかな表情をすると、俺にふわっと微笑むんだ。
智「それに、落ち着かないんでしょ? コレ...」
コレとは、智に押し入っている俺の熱の事だ。
智の言う通り全く落ち着きを見せない俺の熱は、智の声や姿、そのどれもに反応をしていた。
和「本当にいいの...?」
智「今更何を...、そのつもりだったんでしょ?」
確かに俺はコイツに欲情し、よからぬ事を考え、思うままに行動した。
だけど青ざめるその顔を見て、我に返ったんだ。
その背に生えた白くてふわふわした羽根を、もぎ取ってしまったんじゃないかと。
飛べなくしてしまったんじゃないかと。
その天使の笑顔を壊してしまったんじゃないかと、俺は後悔したんだ。
智「だけど」
もうその笑顔は俺に向けられる事は無くなったと、そう思った。
智「俺もこんなの初めてなんだから、優しくしてよ...?」
だけど、俺に向けられた。
俺が壊したと思ったその微笑みを、智は恥ずかしそうに俺に向けたんだ。
