
愛のカタチ
第1章 ON~社会人×大学生~交わる心編~
この人は凄く優しくて、怒った所なんて見た事が無い。
俺が何をしたって許してくれるし、何をしても怒らなかった。
だけどその大野さんが今、俺の手首を掴んで真顔で俺を見てる。
智「からかって悪かったよ…」
良かった。怒ってない。
智「好きだから、つい触りたくなっちゃったんだよね…」
眉を下げて俺を見るんだ。
和「俺こそごめん。殴りすぎた…」
智「ふふ。しおらしい和って珍しいな」
和「珍しいってなんだよ。俺だってごめんなさいくらい言えるよ」
智「そっか?」
ふふっと笑いながら、掴んだ手首をそのまま下ろす。
俺の膝には大野さんに掴まれたままの俺の手。
智「この拗ねた口元も可愛いんだよ」
和「口元?」
智「ん、アヒル口って言うの? 元からだけど拗ねると一層可愛くなるんだよね」
もう片方の手を俺の唇に伸ばす。
智「あ、また殴る?」
和「殴んないよ…」
智「そ? んじゃ遠慮なく」
空中で止めた手を伸ばして、俺の唇を指で撫でるんだ。
智「あ、すげえ。柔らかい」
和「唇だもん。そりゃ柔らかいでしょ」
まるで擽るようにゆっくりと撫でられて、俺の唇はぷるぷると震える。
智「ふふ、擽ったいの? 震えてる…」
くすぐったいよ。
だけど我慢してるんだ。
だってもっと触ってほしい。
その指を、俺から離さないでほしいんだ。
智「お腹もだけど、和って柔らかいんだな…」
ぷにぷにと俺の唇を弄る。
その少し開いた唇の隙間に、大野さんの指が触れる。
和「ん…、も、駄目。くすぐった…」
我慢も限界だった。
今すぐ唇をゴシゴシして刺激を与えたかった。
智「やっぱ敏感だな…」
和「え…?」
俺の目の前がフッと暗くなった。
大野さんが俺の視界を塞いだんた。
和「ん…」
だけど塞いだのは視界だけじゃ無かった。
和「お… の、さん…」
俺の唇も、塞いだんた。
