
愛のカタチ
第3章 ON~カウンセラー×生徒~カモフラージュ編~
智「ソファーも無いのにどうやったと思ったの」
和「ソレがあんじゃん」
ゆったりと深く腰掛ける丈夫そうな椅子を顎で差した。
智「こういう事?」
スッと立ち上がった先生は、有無を言わさず俺を掴む。
和「ちょ、なに...っ」
引っ張り上げた俺を、先生の椅子に押し込めるんだ。
智「ああ、確かに」
深く押し込められた俺の前で、先生は頷く。
俺の両脇にある肘掛けに手をかけて、俺の身動きを止めた。
智「...で? ここからどうすんの?」
和「ど、どうって」
言葉に詰まる俺を嘲笑うかのように、先生は俺にぐっと近づく。
智「キスなら出来るか...」
顔を傾け、鼻先が触れそうになった。
智「で、キスの後は...」
シュミレーションだ。
思わず目を瞑ったけど、鼻先を掠めたのは甘い香りだけで、先生の唇は俺に触れなかった。
智「こう、か」
触れるか触れないかの距離感で、先生の唇は俺の首筋を伝う。
智「で、こう...」
いとも簡単に俺のシャツのボタンは外された。
その隙間に、先生の唇は潜るんだ。
和「ふ...」
触れてないのに、感覚が伝わる。
智「え、触ってないよ」
唇が触れなくても、数ミリの距離でその体温が伝わるんだ。
智「ん~...、ここまで、かな」
和「え...?」
智「この格好じゃこれ以上は無理だよ」
俺の胸の辺りまで顔を沈めた先生は、ニヤリと笑いながら顔を上げた。
そのニヒルな笑みはいつもの照れ笑いとは違って、何を考えているのかさっぱりわからないんだ。
智「こうしたら、いけなくもないけど」
和「う...わ、っ」
先生の行動が読めずに、俺は固まっていた。
その固まったままの俺をくるりと翻し、先生の膝に俺を乗せたんだ。
智「あ~でも、肘掛けが邪魔だな」
一体これは何をしてるんだ。
なんの流れでこうなったんだっけ。
智「はい。二宮くんの負け」
和「へ」
俺と対面する先生は、ニコッと笑って俺を見る。
智「だってそうでしょ。二宮くんの説は成り立たない」
和「は...?」
俺の腰に腕を回して勝ち誇ったような顔をしてる。
無邪気に笑うその顔が余裕すぎて、悔しいんだ。
