
愛のカタチ
第3章 ON~カウンセラー×生徒~カモフラージュ編~
なんだどうした。
俺に何が起こってドキドキなんてしてるんだ。
和「え、なんですか。用って」
智「や、別に無いんだけどね」
和「は?」
カウンセリング室に着くと、俺を椅子に座らせココアを差し出す。
それを受け取りながら俺は聞いたのに、あっさりと用は無いと答えられてしまった。
和「利用したの?」
智「人聞き悪いな」
和「だってそうじゃん。あの女から逃げたかっただけでしょ」
智「まあ、そうだけど…」
不思議とドキドキなんてしたのにこんな理由。
少し罰の悪そうな顔を見せるけど、その理由に俺は納得がいかなかったんだ。
和「じゃ、もういいでしょ。俺帰る」
智「え」
和「もう撒けたじゃん。これでアンタも安心して帰れるし」
智「...なんか機嫌悪いね?」
和「別に」
別にと言い残して俺は背を向けた。
さよならも言わずに戸に手をかけると、俺の背は急に仰け反った。
智「二宮」
先生が俺の肩を掴んだんだ。
普段は優しく手を引くのに、その掴んだ手は思いのほか力が強くて。
智「明日、◯◯広場に迎えに行くから」
和「は?」
智「カウンセリング。まだ終わってないよ」
仰け反ったままきょとんとする俺を支えて先生は言うんだ。
智「どうせ暇なんでしょ? 15時な」
和「え...」
智「ほら、早く帰れ」
今ならまだ皆に追いつくだろうと、俺の背を押し部屋から追い出す。
和「は...? 連れ込んでおいて追い出すとかどうよ」
俺の予定も聞かず、勝手に暇人だと決めつけて。
まあ確かに出掛ける予定も無いしゴロゴロと転がってゲームでもするつもりだったけど。
だけど俺だって別に暇な訳じゃ無いんだ。
明日はあのダンジョンをクリアしようと意気込んでたのに。
だけどゲームはいつだって出来るし。
だから別に、行ってやってもいいけどな。
