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愛のカタチ

第3章 ON~カウンセラー×生徒~カモフラージュ編~




智「二宮くん」


結局俺は広場に来てしまった。
出掛ける寸前まで少し悩んだけど、やっぱりゲームなんていつでもできるし。


智「遅かったね。嫌だったの?」

和「そりゃそうでしょ。なんで土曜日に教師に会わなきゃなんないのよ」

智「だから、俺は先生じゃないよ?」


まあでもそうか、と笑いながら俺の手をやはり掴む。


和「ちょ、外」

智「ん? あ、これか」


別に嫌な訳じゃないけど。
だけど普通に考えれば気持ち悪いかなと思ったんだ。
いい歳した男が若い男と手を繋いで歩くなんて、傍から見れば一体どんな関係に見えると思ってんだ。


和「どこいくの...」

智「ゆっくり、話の出来るところ」


手は引かずとも、俺を静かに誘導する。
柔らかい雰囲気で俺を捕らえて、優しい笑顔で俺を導く。
その雰囲気に気圧されながら歩いていると、ある建物に辿り着いた。


和「ここは...?」

智「俺の職場」


部屋に促されると、真っ白な壁に真っ白な天井。
置いてあるソファーや机だって白くて、まるで異世界に来たみたいだ。


智「カウンセリングルームだよ」

和「え...」

智「君はちょっと心配だから。ちゃんとやっとこうと思って」


ソファーに促されて座ると、あったかいハーブティーなんてものを出されて。
心が落ち着くんだよと先生は言う。

すっかり病人扱いだ。


和「心配って、なにが」


ハーブティーを啜りながら一応聞いてみる。


智「興味が感じられないんだよね」

和「興味?」

智「...無くても生きていけるだろうけど、あった方が楽しいでしょ?」

和「何に...」

智「何にしてもだよ」


昨日俺に触れそうで触れなかった先生が休日に俺を呼び出し、一体何をするのかと思えばこんな事。

ふわふわと笑っていた先生が急に大人の顔を見せ、真面目にカウンセリングを進めている。


智「ほらまた」

和「は?」

智「つまらなそうな顔してる...」


何処に連れて行かれるんだろう、何をするんだろうと予想はつかなかった。

だけど想像ならしていたんだ。



その想像が外れたなら、こんな顔になるのも仕方が無いってモンだろうが。





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