
愛のカタチ
第3章 ON~カウンセラー×生徒~カモフラージュ編~
ニヤリと笑った先生は、その妖しい顔を柔らかく見せる。
ニコリと笑って、ふわふわと穏やかな空気を作るんだ。
智「キス、してたと思ったんでしょ?」
だけど俺は騙されないぞ。
智「部屋の音に耳を澄ませて、色々想像してたんだろ...」
ほら、妖しい顔がチラッと見えた。
智「どんなキスしてると思った...?」
柔らかく笑う細めた瞳を光らせて、俺にそっと近付く。
智「こうやって」
至近距離まで来ると、俺の頬に手を添えて。
智「優しくキスしたと思ったか...?」
座る俺は先生を見上げて、対面する先生は目を細めて俺を見下ろしている。
和「...っ、ん」
鼻先が触れそうになって思わず目を瞑ったけど、ああそうだ、またシュミレーションかと。
また俺をからかってるんだなと思って目を開けようとしたんだ。
智「キスくらい、した事あるだろ」
和「ふ...、っ」
だけど甘い香りを嗅がせるだけじゃなくて、熱い唇が俺に触れた。
和「せ、んせ」
深く覆い被さる唇は俺を離さない。
驚いて頭を振ろうとしても、頬に添えられた手にいつの間にか力が篭っていて。
智「こういう事だろ? 想像してたの」
和「ん...、違」
頬を掴む先生の手を掴み返すと、先生は漸く唇を離した。
ここが真冬の外なら、きっと俺の唇からは白い湯気が出たかもしれない。
それ程までに熱い唇を、先生は離したんだ。
智「違うの...? じゃあ、こうか…」
和「ちょ...っ、ふ」
離したのだから、その手も俺の頬から下ろして離れて行くものだと思ったんだ。
なのに。
和「ん、ぅ...」
さっきよりも更に深く被さった唇は、一瞬の隙をついて俺の唇をこじ開けた。
少しだけ開いた隙間に舌を捩じ込み更に広げ、結局は温かいその舌を俺の咥内に押し込んだ。
智「お前の中、気持ちいいな…」
なんだコレ。
どうなってる?
少しばかり抵抗をしていたけど、その俺の抵抗は多分だけど本気じゃ無かったんだと思う。
だって今俺の舌は、この妖しい顔と雰囲気に流されて、先生の導くがままに絡んでいるのだから。
