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愛のカタチ

第3章 ON~カウンセラー×生徒~カモフラージュ編~



俺はソファーの背凭れに後頭部を押し付けられて。

俺を押さえる先生は、ソファーに片膝をついて俺を囲むように背凭れを掴んでいる。

俺の頬を掴み俺の咥内に舌を捩じ込みながら、甘い香りを嗅がせるんだ。


智「こういうキス? 想像してたの」

和「っ、は...ぁ」


その甘い香りで目眩がしそうだった。
熱い舌で、意識が飛びそうになった。


智「ふふ、どうした...? 想像だけじゃ物足りなかったんでしょ?」


俺の唇を解放しても、先生はまだ俺の前で。
呼吸を整えようと奮闘する俺を見て、うっすらと笑ってる。


智「...お前の性格ややこしいからよく分かんなかったけど」


その妖しい笑みを優しい笑みに変えて。


智「やっと分かったよ」

和「なにが...」


その眼差しに射抜かれて固まってしまった俺は、たった一言しか出てこないんだ。


智「お前の興味あるもの。きっと当たってるよ?」


漸く一言捻り出したのに、余裕の笑みを向けまたもや俺の動きを止める。


智「俺、でしょ?」


きっと瞳孔が開いてる。
だってドキッとしたんだ。
そのたった一言で、俺の心臓は止まりそうになった。


和「は...?」

智「しらばっくれても無駄だよ」

和「何を言って...」

智「動けないくせに」


未だ固まる俺を嘲笑う。
ふふっと鼻で笑うと、更に俺を固まらせる。


和「ちょ、何す...」


俺の瞳孔が開いてるのを確認すると、先生は手を俺の首に伸ばした。


智「何、してほしい?」


そのしなやかな手から生える指先で俺の首筋を撫で、またニヤリと笑うのかと思ったら打って変わって笑みは消えた。


智「好きなモノも知ってるよ。俺の手、でしょ?」


言ったこと無いのに。
なのにいつも追うその視線を感じていたんだ。


智「ふふっ、目、潤んでるよ...」


明け方までゲームをやってたんだ。
来いって言うから今日は出来ないなと思ってたし。
だから俺の目は赤く充血して涙目になってるだけなんだ。


智「今日は減らず口も出ないな...」


言いたい事は沢山あるけど。

その雰囲気に圧倒される。


何言ってんだよバカじゃねえのなんて、今すぐ言えるもんなら言ってやりたいんだ。


だけど何故か胸がきゅっとするんだよ。


カウンセラーならそれくらい分かりやがれ。





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