
愛のカタチ
第3章 ON~カウンセラー×生徒~カモフラージュ編~
和「ん、...っ」
先生は伸ばした指先で俺の首筋を撫でる。
そのついでに唇も触れさせて。
この間は数ミリの距離で熱を感じさせていたのに、今日は直にその熱が伝わった。
和「ふ...」
智「...どうした? 唇が震えてるよ...」
その熱が触れると、俺の瞼はピクッと震えた。
温かい湿りが首を伝うと、俺は唇まで震えたんだ。
智「ふふ...、想像しかした事無かったの...?」
まるで濡れた仔犬のように震える俺を、鼻で笑うんだ。
普通大人だったら心配するもんだろ。
いや違うか、大人だから笑うのか。
和「っ、こ、んなとこで、何...」
こんなとこで何やってんだ。
一応ここは職場なんだろ? 学校じゃないにしても、一応俺は生徒なんだぞ。
智「ん? ああ、そうか」
先生はとうとう俺のシャツを捲り上げてたんだ。
震える俺の腕は、小さく折り畳んで先生の腕を掴むのがやっとだったし。
だから必死の抵抗でなんとか言葉を発した。
智「...真っ白だからな。気になっちゃうよね」
違う。そうじゃないよ。
俺が言いたいのは汚れが気になるとかじゃなくて。
智「よいしょ、っと」
和「え」
そうじゃないと言う隙も無く、先生は俺を抱き上げる。
そのままスタスタと歩いて、器用に足でドアを開けた。
和「ど、どこ行くんだよ、降ろしてよ...っ」
智「降ろしても大人しくついて来るか?」
和「は...」
先生の問にすぐに答えられなかった。
一瞬悩んで、困った顔をしたと思う。
智「じゃあ駄目。降ろしてやらない」
返事なんてしてないのに。
困った一瞬の顔を先生は見逃さなかったんだ。
智「そんな顔しなくても大丈夫だよ。気にならない部屋があるから...」
大人しく抱き抱えられて、余裕の笑みを浮かべる先生を見つめる。
返事も出来なければ、何をするつもりだとも聞けない。
只俺は、普段隠された先生の大人の顔を凝視する事しか出来なかった。
