
愛のカタチ
第1章 ON~社会人×大学生~交わる心編~
あれから大野さんに会ってない。
少なくても週に1度、多ければ3度程はバッタリを装って会っていたのに。
もう2週間もあの人の顔を見ていない。
なんだか少し会いづらかったってのもある。
だってキスしたんだ。
別にファーストキスでもないし、なんなら今までだってふざけて大野さんにキスした事だってある。
だけど今回は。
何かが違う。今までと何かが。
だけど会いたいのは変わらずだ。
会いに行こうと思えばいつだって行ける。
もう家だって分かってんだし。
てかあの人なんなんだよ。
コッチから行かなきゃ本当に来ねえんだな。
あんなキスをしておきながら、あんな顔を見せておきながら放置とか酷すぎんじゃん?
なんなのあの人。
馬鹿なの?
そうだ馬鹿だ。馬鹿だった。
くっそ。
会いてえなあ。
雅「呑みすぎじゃない?」
和「いいんだよ。俺はもう未成年じゃない」
大学のサークル仲間と飲み会だ。
普段は付き合いの悪い俺だけど、今日は来てやった。
なんだか呑みたい気分。
大人みたいだ。
潤「だけどあんま強く無いじゃん。無理しない方がいいよ」
和「いんだよっ」
雅「なんかあったの?」
和「何もねえっ」
そうだよ何も無いんだ。
あの人から連絡も何も来やしない。
和「くっそ…」
もうこうなったらヤケ酒だ。
先輩に気ィ使うとかもう知らない。
俺は俺で勝手に呑むから放っといてくれ。
和「ん…?」
聞き覚えのある声が聞こえた。
和「あ…」
大野さんだ。
座敷の俺から見える。
カウンターにちんまりと座る可愛い人。
和「おおのさ…」
って誰だアイツ。
馴れ馴れしく大野さんの肩なんて触りやがって。
大野さんも大野さんだ。
何嬉しそうにニコニコと笑ってんだ。
和「ああ、ショウクンか…」
大野さんの友達。
別の大学に通うソイツは大野さんと仲がいいらしい。
確か大野さんよりいっこ下のソイツは翔くんと呼ばれていた。
自分より年下なんだけど、しっかりしてて凄い奴なんだと俺に話してくれた事がある。
その時に聞いた風貌そのままのソイツは爽やかに笑い、楽しそうに酒を呑んでいる。
和「すげえ特徴捉えてんじゃん…」
ひと目で翔だと分かった。
大野さんはソイツの特徴を、完璧に俺に伝えていたんだ。
